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AI動画編集のやり方。ショート動画を内製で量産する工程の組み方

AI動画編集のやり方。ショート動画を内製で量産する工程の組み方

AI動画編集のやり方は、編集ソフトを選ぶことからではなく、企画から投稿までの制作工程を分解して「どの工程をAIに渡し、どこに人間の判断を残すか」を決めることから始まります。僕はこの考え方でショート動画の制作を内製していて、2026年7月の1か月で8本の企画を制作ラインに載せ、5本を公開しました(自社の制作台帳の実カウント)。この記事では、その実運用の工程分解をそのまま公開します。

AI動画編集のやり方は「ツール選び」ではなく「工程の分解」から

結論から書きます。AIで動画編集を始めるとき、最初に決めるべきは「どのツールを使うか」ではなく「制作のどの工程をAIに渡すか」です

理由はシンプルで、編集は動画制作の工程の一部でしかないからです。カットやテロップの作業をAIで速くしても、企画を考え、台本を書き、声を録り、投稿文を書く工程が手作業のまま残っていれば、1本あたりの負担はほとんど減りません。ショート動画が続かないのはツールの性能の問題ではなく、工程設計の問題です。

僕はAIVESTという会社を経営しながら、ショート動画の制作をパイプライン(工程を流れ作業に組んだ分業ライン)として内製しています。この記事は一般論ではなく、その実運用の現物をもとに書きます。

なぜツール選びから入ると止まるのか?

ツールが速くするのは「1本作る」の一部だけ

編集ツールを試すと、最初の1本は確かに速く作れます。問題はその先です。動画を出し続けるには、企画、台本、ナレーション、映像、編集、投稿文、公開前の確認という一連の流れが毎回発生します。編集AIが短縮してくれるのは、このうち1工程だけです。

残りの工程が手作業のまま残ると、2本目、3本目と進むうちに「今日は企画を考える気力がない」「投稿文を書くのが面倒」という形で止まります。ボトルネックは編集ではなく、編集の前後にあるというのが、自分で回してみて一番はっきり分かったことです。

「自分の業務への当てはめ」は誰も教えてくれない

世の中にはツールの解説と、すごい実演があふれています。検索上位もツールの比較記事が中心で、どれを選ぶかは詳しく分かります。ただ、どの記事にも書いていないのが「自分の制作フローのどこに、どの順番で当てはめるか」です。

だからこの記事は、ツールの比較はしません。主役は工程で、ツールは差し替え可能な部品という順番で書きます。どれを買うかを決めても、工程を設計しないと量産は回りません。

僕も最初は編集ツールから試して、1本作って満足して止まりました。回り始めたのは、工程を全部書き出して並べ直してからです。

ショート動画の制作工程を7つに分解する

僕の運用では、ショート動画1本は次の7工程でできています。

ショート動画の制作工程を7つに分解した図
  1. 企画。伸びている動画の実測データと、自分の一次情報を突き合わせてテーマを決める

  2. 台本。冒頭のフック(最初のひと言)の型を決めて30〜60秒の原稿にする

  3. ナレーション音声。自分の声を学習させたクローン音声で読み上げる

  4. アバター動画。自分の分身が話す映像をAIで生成する(撮影ゼロ)

  5. 編集。テロップ・図解・BGM・効果音を載せる

  6. 投稿文。タイトル・説明文・ハッシュタグを作る

  7. 試写。人間が通しで見て、公開してよいかを判断する

前半の3工程で「何を言うか」が決まる

企画の材料は2系統です。ひとつは実際に伸びているショート動画の再生データ(需要の根拠)、もうひとつは自分の実体験や自作物といった一次情報(中身の根拠)。両方揃った企画だけを通します。需要だけだと中身のない借り物になり、一次情報だけだと誰も見ない自己満足になるからです。逆に、語れる材料が見つからなければ「この企画は作らない」と機械的に判定して止めます。量産の仕組みには、作らない判定も必要です。

台本は、あいさつも自己紹介も書かず、最初のひと言から本題に入ります。僕の現行基準(2026年8月時点)では、フックの第一文は35字以内、読み上げ全体は165〜400字。数値で決めてあるのは、後述する機械検査にかけるためです。

ナレーションは、自分の声をAIに学習させたクローン音声で台本を読み上げます。収録もマイクも不要になります。音声工程の作り方は別記事に詳しく書きました。

関連記事AIナレーションの作り方。自分の声のクローンで量産する仕組み動画や教材のナレーションを自分の声のクローンで量産する方法を解説。長い台本はブロックに分割して個別生成し、無音を挟んで結合、-16 LUFSに正規化する実運用の手順と、棒読みにならない品質設計を公開します。

後半の4工程は「どう見せるか」の量産区間

アバター動画は、自分の分身が話す映像をAIが生成する工程です。撮影がゼロになるので、収録日程という概念自体が消えます。

編集は、テロップの位置、フォントサイズ、BGMの音量、効果音の入れ方といった設定をすべてコードに焼き込んであります。プログラムで動画を組み立てる方式にすると、1本目で調整した設定が2本目以降にもそのまま効くので、品質が人の集中力に依存しなくなります。手で編集ソフトを触る工程はありません。

投稿文もAIが書き、誇大表現が混ざっていないかの検査を通します。テキスト投稿側の分業設計はSNS運用をAIで自動化する仕組みで扱っているので、そちらに譲ります。

AIに任せる工程と人間が残る工程の線引き

7工程をどう分担するか。原則は1行です。実行はAIに任せ、判断と責任は人間に残す

AIに任せる工程と人間が残る工程の分担図

機械ゲート。数値にできる検査はプログラムに任せる

工程と工程の間には、ゲート(合格基準をプログラムで自動検査する関門)を置いています。台本なら「フックの第一文が35字以内か」「読み上げ文字数が165〜400字に収まるか」「言い切れない効果の主張が混ざっていないか」。音声なら「語尾が欠けていないか」「台本と読み上げ内容が一致しているか」。基準を満たさない成果物は、次の工程に進めません。

この検査があるおかげで、AIの出力を人間が毎回全部読む必要がなくなります。人間の確認を減らせるのは、機械の検査を増やした分だけです。

人間ゲート。企画の採否と公開前の試写だけは残す

一方で、人間にしか判定できないものが2つあります。企画の採否と、公開前の試写です。「会社として出してよいか」「誰かを傷つけないか」「自分の言葉として違和感がないか」は数値基準にできません。僕の運用では、公開の操作も自動化していません。公開コマンドは人間が打ったときだけ動く作りです。

工程

主担当

検査の形

企画

AI(候補出し)

人間が採否を決める

台本

AI

機械検査(フック・文字数・表現)

ナレーション音声

AI(クローン音声)

機械検査+聞き取り確認

アバター動画

AI

音声の検査合格が生成の条件

編集

AI(設定はコード化)

機械検査

投稿文

AI

機械検査(誇大表現)

試写・公開

人間

通しで見て判断。公開操作も人間

この「実行は自動・責任は人間」という線引きの考え方は、動画に限らずAI自動化全般に共通します。詳しくはAI自動化のリスク設計に書きました。

内製パイプラインの組み方5ステップ

ここまでの工程分解を、自社でゼロから組むならこの順番です。

1工程だけAIに置き換える

全部を一気に自動化しません。台本かナレーション音声のように、成果物の良し悪しを自分で判定できる工程を1つ選んで置き換えます。ここで「AIの出力を自分の基準で合否判定する」感覚を作ります。

前後の工程をつないで流れ作業にする

1工程が安定したら、前後の工程を足します。台本ができたら音声、音声ができたら映像、と成果物が次の工程の入力になるように並べます。人間が間で手直しする箇所が残っていて構いません。

工程の間に機械ゲートを置く

「文字数」「禁止表現」「音声の欠け」など、数値や有無で判定できる基準を検査プログラムにして工程間に置きます。不合格なら先に進まない、を機械に守らせます。

公開直前は人間の試写で止める

どれだけ自動化しても、公開前に人間が通しで見る関門だけは残します。ラインは試写で必ず一時停止し、公開の操作は人間が行います。

事故が起きたら検査項目に昇格させる

試写で見つけた問題は、直すだけで終わらせず「同じ問題を機械が検知できる検査」を1つ足します。これを繰り返すと、ラインは回すほど頑丈になります。

内製パイプラインの組み方5ステップの図

5番目のステップが一番大事です。僕のラインでも、音声の語尾が欠ける不具合や、失敗した動画生成をもう一度取りにいってしまう不具合が実際に起きました。そのたびに検査項目を足してきた結果が今の形です。僕の作業ルールにはこう書いてあります。

試写で問題が見つかったら、先に「同じ問題を機械が検知できる検査」を足してから直す。直してから検査を書くのは禁止。

順番を守る理由は、先に直すと「検査を書いたつもりで書き忘れる」からです。事故のたびに検査が増える設計にすると、量産ラインは回すほど強くなります

実運用で使っているツールと工程の対応

「おすすめのアプリやソフトは何か」とよく聞かれるので、僕が実際に使っている対応を載せます。ただし繰り返すと、ツールは部品です。同じ役割を果たせるなら差し替えて構いません。

工程

僕が使っているもの

役割

企画

自作の収集スクリプト+自分のナレッジ検索

伸びている動画の実測と一次情報の突合

台本・投稿文

Claude(生成AI)+自作の検査スクリプト

型に沿った原稿の生成と機械検査

ナレーション音声

Fish Audio(クローン音声)

自分の声での読み上げ生成

アバター動画

HeyGen

分身映像の生成(撮影ゼロ)

編集

Remotion(プログラムで動画を組むツール)

テロップ・BGM・図解の自動合成

公開

YouTubeの公式API(プログラムから投稿する仕組み)

人間の判断後の投稿操作

料金は「未確認の数字を書かない」。代わりに実測を1つ

各ツールの料金プランは改定が頻繁なので、この記事では公式サイトで確認していない金額は書きません。代わりに、僕の台帳に残っている実測を1つ挙げます。2026年7月22日の自動記帳では、アバター動画の生成コストは1秒あたり0.0662ドル、54.4秒の1本で3.60ドルでした(自社コスト台帳の実測値)。1本あたり数百円の世界で、外注の相場と比べる際の基準になります。

成果側の実測も正直に書くと、2026年7月に公開した5本のうち、24時間再生を記帳できている3本は1,044〜1,310回でした(YouTubeの実測値を自社台帳に記帳)。バズの数字ではありません。ただ、撮影ゼロ、編集の手作業ゼロで、この初速が安定して出ることが工程設計の成果です。

AI動画編集のよくある質問

AI動画編集は無料でどこまでできますか?

台本と投稿文の作成は無料枠のある生成AIで十分始められます。一方、クローン音声・アバター動画・自動編集は、無料枠だと透かしや時間制限が付くことが多く、量産段階では有料前提で考えるのが現実的です。まず無料で1本作り、続ける価値を確認してから課金する順番をおすすめします。

AI動画編集はアプリとPCソフトのどちらがいいですか?

1本ずつ丁寧に作るならスマホアプリで足ります。量産したいならPCです。工程をつないで自動で流すにはプログラムから各ツールを操作できる環境が必要で、それはPC側にしかないからです。

カット編集はAIで自動化できますか?

無音カットや字幕起こしは実用レベルで自動化できます。ただ僕の運用では、撮ってからAIでカットするのではなく、読み上げ原稿を確定させてから音声と映像を生成するので、そもそもカット作業が発生しません。編集を速くするより、編集が要らない工程順にする方が効きます。

ショート動画はAIで量産できますか?

できます。僕は企画から投稿文までをAIと機械検査の分業ラインにして、2026年7月の1か月で8本の企画を制作ラインに載せ、5本を公開しました。ただし全自動にはせず、企画の採否と公開前の試写は人間が判断しています。量産できるのは工程であって、何を言うかの責任は人間に残ります。

AIに任せた動画で人間は何を確認すべきですか?

最低限は公開前の試写です。事実と違う内容がないか、誇大な表現がないか、自社の言葉として違和感がないかを通しで確認します。文字数や音声の欠けのような数値化できる検査は機械に任せ、会社として出してよいかの判断だけを人間に残すのが、効率と安全の両立点です。

まとめ: 動画編集の内製は工程設計から

  • AI動画編集は、ツール選びより先に制作工程の分解から始める

  • ショート動画は7工程に分け、実行はAIに、判断と責任は人間に割り当てる

  • 数値にできる基準は機械ゲートに、企画の採否と公開前の試写は人間ゲートに

  • パイプラインは1工程のAI化から始め、事故のたびに検査項目を増やして育てる

外注か内製かで迷っている場合も、まず自社の制作工程をこの7つに分解してみてください。どの工程に自社の一次情報という強みがあり、どの工程が純粋な作業なのかが見えると、内製・外注の判断は具体的になります。

ポイント

AIに任せる工程と人間が残す工程の切り分けは、動画制作に限らずあらゆる業務で使える考え方です。仕分けの実作業に使える「AIに任せてよい業務の棚卸しワークシート」を無料で公開しています。

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戸野塚 蓮

戸野塚 蓮

株式会社AIVEST 代表

株式会社AIVEST。AI活用オンライン講座・AI顧問・受託開発を通じて、 個人と企業のAI活用を支援しています。

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