公開日 ・ 約11分で読めます
リードマグネットの作り方。AIで2日に1本作る仕組み

リードマグネットとは、メールアドレスやLINE登録と引き換えに無料で配る資料のことです。作り方は「企画在庫から選ぶ→編集できる形で書く→PDFにする→機械で合否を判定する→公開して台帳に1行残す」の5ステップに分解できます。この記事では、僕が実際に2日に1本のペースで資料を作り続けている運用を、そのまま公開します。
読んでほしいのは、資料を配りたいけれど1本作るのに何日もかかり、結局その1本で止まってしまった経営者・マーケ担当の方です。
先に結論を書くと、続かない原因は文章力でも予算でもありません。1本ずつ手作業で作っているという構造そのものです。直すのは資料の中身ではなく、作り方の仕組みのほうです。
リードマグネットとは何か。なぜ「1本作って終わり」で止まるのか
リードマグネットの定義と、営業資料との違い
リードマグネットは「見込み客の連絡先と交換できるだけの価値を、無料の範囲で渡す資料」です。BtoBでよく使われるのは、チェックリスト、ガイドラインの雛形、記入式のワークシート、用語辞典、比較シートあたり。ホワイトペーパー(BtoBで配布される解説資料)もこの一種です。
会社案内やサービス紹介との違いははっきりしています。リードマグネットは、読んだ人が今日その場で使えるものでなければ意味がありません。 自社の説明が主役になった瞬間、それは営業資料であって、連絡先と交換できる対価ではなくなります。
1本目で止まる3つの理由
止まり方には型があります。僕が自分でやってみて自覚したのは次の3つです。
1本に力を入れすぎる。「渾身の30ページ」を目指すと、制作が数日がかりの大仕事になり、次を始める気力が残らない
毎回ゼロからネタを考える。何を配るかを都度悩むので、制作より企画で止まる
合否を気分で決めている。「まだ完成度が低い気がする」で公開が延び、公開されない資料が溜まっていく
リードマグネットが続かないのは、作る力が足りないからではなく、毎回ゼロから判断しているからです。 選ぶ・書く・判定する・記録するのうち、判断を機械に渡せる部分を渡していけば、1本あたりの重さは大きく下がります。
僕が2日に1本、配布資料を自動で作り続けている仕組みの全体像
僕はAIVESTという会社を経営していて、ブログ記事とダウンロード資料の制作を仕組みとして回しています。資料は2026年7月時点で5本を公開中で、ペースは2日に1本です。
仕組みは6つの部品でできている
複雑なことはしていません。部品は企画在庫・執筆・PDF化・機械ゲート・公開・台帳の6つだけで、走る順番もこの通りです。ネタは在庫から取り、中身はAIが編集できるHTMLで書き、そのままPDFに変換し、決めた検査項目を機械が判定し、合格したものだけを資料一覧に公開し、最後に仮説とKPIを台帳へ1行残します。

人を待つ工程は、いつか必ず止まる
この仕組み、最初は僕が手元で起動していました。結果、2026年7月23日と25日の分が欠便しました。原因は単純で、その日僕が作業を開けなかったからです。
人が開かないと止まる工程は、いつか必ず止まる。止まったのなら、その工程から人を外す。
そこで、決まった時刻に自動で立ち上がる常駐ジョブに移しました。今は僕が何もしなくても資料が1本増えます。ただし走らせっぱなしにはしません。自動化で最初に設計すべきなのは「どう走らせるか」ではなく「どういうときに走らせないか」です。
止める条件(蛇口)は2つ。台帳の最終制作日から2日経っていなければ、その日は何もせずに終了する。当日分の資料フォルダが既にあれば、二重に作らず終了する。これで「作りすぎ」と「同じ日に2本できる事故」の両方が塞がります。
リードマグネットの作り方5ステップ
上の6部品を、実際の作業手順に落とすと5ステップになります。
ネタをその場で考えません。事前に貯めた在庫から、対象読者と元ネタが決まっているものを取り出します。選定基準は「ペアになるブログ記事が公開済みか」。記事から資料へ導線を引けるものを優先します。
いきなりPDFやスライドで作らず、後から差し替えられるHTMLで書きます。構成は表紙・使い方・本体2ページ・運用とCTAの5ページ固定。デザインは既存資料のスタイルを流用し、毎回ゼロから作りません。
書いたHTMLをブラウザの印刷機能でPDFに変換します。中身とレイアウトが1ファイルに閉じているので、修正はHTMLを直して変換し直すだけ。表紙画像だけ別途作り、資料ページのサムネイルに使います。
人の感覚で「まあいいか」と通さないための工程です。ファイル構成・サイズ・ページ数・説明文の長さなど決めた項目を機械が検査し、1つでも落ちれば公開処理に進めません。落ちた理由は記録に残します。
合格したものだけを資料一覧に公開し、台帳に「日付・スラッグ・仮説・対象読者・KPI目標」を1行追記します。ここまでで1本完了。公開して終わりにはしません。
このうち僕が毎回判断しているのは、ステップ1の「どれを選ぶか」だけです。残りは手順が固定されているので、AIと機械に渡せます。 逆に言えば、この5つに分解しないまま「AIで資料を作ろう」とすると毎回すべてを手作業で判断することになり、また1本目で止まります。
何を配ればいいか。ネタが尽きない「記事と資料のペア設計」
作り方より先に詰まるのが「何を配るか」です。ここは在庫の設計で解けます。
記事と資料をペアで企画する
やり方はシンプルで、ブログ記事を企画する時点で、その記事とペアになる資料も一緒に決めておくというものです。
例えば「社内のAI利用ルールの作り方」という記事なら、資料は「社内AI利用ルールのガイドライン雛形」。「AI業務自動化を外注する前に知っておくべきこと」なら、資料は「AI業務棚卸しワークシート」。記事で考え方を説明し、資料で実物を渡す形です。
この設計には3つの効果があります。
ネタが尽きない。記事の企画在庫が、そのまま資料の企画在庫になる
中身を作り直さなくていい。記事のために調べた内容を、記入できる形に組み替えるだけで資料になる
導線が自然につながる。記事に納得した人がそのままダウンロードするので、無理な売り込み文が要らない

在庫は「2本を切らさない」を機械に見張らせる
ペア設計をしても、在庫が空になれば止まります。僕の台帳には在庫が2本を切ったら警告が出る仕組みを入れてあります。実際、在庫がゼロで次の便が選定不能になる状態は何度も起きていて、そのたびに補充しています。
正直に書くと、在庫の補充だけは今も僕の仕事です。何を配るかは事業の判断で、機械が決めるところではないと考えています。制作は渡せる、企画の種は渡さない。この線引きが仕組みを長持ちさせています。
AIに作らせた資料の品質はどう担保する?
「AIに書かせた資料を、そのまま人に配って大丈夫なのか」。一番聞かれる質問です。答えは、人の感覚ではなく、機械が判定できる基準を先に決めておくことです。
実際に走らせている検査項目
僕の資料は公開処理に進む前に次の項目を機械が検査し、1つでも落ちたら先へ進みません。
編集できるソースがあるか(PDFだけ作って元HTMLが無い状態を禁止。後から直せなくなるため)
PDFが1本だけ存在し、ファイルとして壊れていないか(先頭の形式表示まで確認する)
ファイルサイズが100KB〜20MBか(小さすぎ=中身が空、大きすぎ=ダウンロードされない)
表紙画像があるか(資料一覧ページのサムネイルとして必須)
管理情報の必須項目が全部埋まっているか(仮説・対象読者・KPI目標・タイトル・スラッグ・説明文)
タイトルと説明文が規定の長さか(タイトル60字以内、説明文20〜200字)
ページ数が4〜12ページに収まっているか

注目してほしいのは5番です。仮説と対象読者とKPI目標が空欄だと、公開処理に進めません。 「誰に、何を狙って配るのか」を書かずに資料を出すことを、仕組みのレベルで禁止しています。文章の巧拙より、これが効きます。
基準は緩めない、が最重要のルール
検査項目そのものより大事なのが運用です。僕の運用ではこの基準を緩めることを禁止しています。落ちたときに直すのは資料であって、基準ではありません。
自動化した仕組みで一番よく起きる失敗がこれです。締切に追われて「今日は特別に」と基準を1つ外す。翌週にはもう1つ外れている。1か月後にはゲートが形だけ残り、実質何も検査していない状態になります。品質の担保は検査項目の数ではなく、例外を作らないという1点で決まります。

落ちたときに一番きついのは、直す時間より「ここは今回だけ見逃したい」という自分の気持ちのほうです。だから、判定を自分でやらない設計にしています。
ホワイトペーパーをAIで作るときにやってはいけないこと
AIに資料を書かせる前提で、避けるべきことを4つに絞ります。
1. 数字を作らせない。 AIは文章の流れに合わせて、それらしい数値を書きます。「導入企業の約7割が」といった一文が根拠なく生成されることがあります。自社の実績値・調査データ・引用元がある数字以外は載せない、が基本動作です。
2. ページ数を水増ししない。 「20ページ以上」という相場観に合わせて薄い内容を引き伸ばすと、読まれずに終わります。僕の資料は本体2ページ、全体で5ページです。ページ数の上限を検査項目に入れているのは、厚さで価値があるように見せる誘惑を仕組みで塞ぐためです。
3. 目視検品を省かない。 機械が検査できるのは構成・サイズ・文字数といった形式面までです。レイアウトの崩れ、フッターと本文の重なり、表紙画像の日本語の乱れは検査を通過します。機械ゲートは目視の代わりではなく、目視で見る点を減らす道具です。
4. 公開済みのものを上書きしない。 配った資料を同じURLのまま黙って書き換えると、すでにダウンロードした人とこれから見る人が別の内容を持ちます。改訂は版を分けるか更新日を明示する。僕の仕組みでは公開済みへの書き込み自体を止めています。
同じ考え方をブログ記事の側に組んだ話はAIに記事を書かせて品質を守る「機械ゲート」の考え方にあります。
関連記事AI記事作成の品質管理——公開前に自動で守る機械ゲートの作り方AIに記事を書かせたいが品質が心配で任せきれない。その答えは人力チェックの強化ではなく、公開前に自動で合否を判定する機械ゲートです。僕のブログ全記事が通っている検査項目の実物と作り方5ステップを公開します。効果はどう測る?資料別のKPIの置き方と台帳の作り方
資料は作った時点では、ただのPDFです。効果が測れる形にして初めて資産になります。
台帳は1本1行、9列で足りる
僕の台帳は資料1本につき1行、列は次の9つだけです。
制作日 / スラッグ(資料のURL名) / 仮説 / 対象読者 / KPI目標 / 30日ダウンロード数 / 30日登録数 / 状態 / 見送り理由
制作時に埋めるのは前半5列、公開後に埋まるのが実測2列です。大事なのは、仮説とKPI目標を作った日に書き切ること。後から振り返ると、人は結果に合わせて当初の狙いを書き換えてしまいます。
KPIは資料ごとに置く
全社共通の「ダウンロード数」だけでは、どの資料が効いているのか分かりません。僕は資料ごとにKPI目標を1行で決めています。「公開30日でダウンロードクリック20件」「ペア記事からの導線クリック率5%」といった粒度です。
計測は、資料ページのダウンロードクリックと、その先の登録クリックをスラッグ別に取るのが基本です。どの資料から来た人かが分かる状態を先に作らないと、後から遡れません。 資料を増やしてから計測設計を考えると、初期の数本は測れないまま終わります。
資料を作らないと決めた場合も、台帳に「見送り理由」を残しています。ボツも判断材料だからです。この「回して、測って、次に反映する」考え方はループエンジニアリングとは。AIが自分で改善を回す仕組みも参考にしてください。
よくある質問
回せます。要点はペースを上げることではなく、判断の回数を減らすことです。企画在庫を数本貯める、構成を5ページに固定する、デザインを流用する、合否基準を先に決める。この4つで1本あたりの負荷は大きく下がります。2日に1本が重ければ、週1本を3か月続けるところから始めるのが現実的です。
まとめ。資料は「1本の力作」より「回る仕組み」が効く
作り方は「企画在庫から選ぶ→編集できる形で書く→PDFにする→機械で合否を判定する→公開して台帳に1行残す」の5ステップです。そして、これを続けるために要るのが、記事と資料のペア設計と、走らせない条件を先に決めておくことでした。リード獲得で効くのは、渾身の1本ではなく、止まらずに増え続ける資料の束のほうです。
僕がこの仕組みで実際に作った資料は、AIVESTの資料一覧ですべて無料公開しています。作り方の話だけでなく、5ページ構成や記入欄の作り方といった実物の型を確認したい方は、そちらを見てもらうのが一番早いです。
この仕組みから出た資料の1つが「AI業務棚卸しワークシート」です。記入式リードマグネットの構成そのままなので、中身を使いつつ、自社の資料を作るときの型としても参考にしてもらえます。
この記事が役に立ったらシェア
Related


