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AI画像の著作権と商用利用。広告・LPに使う前の線引きと判定手順

AI画像の著作権と商用利用の問題とは、AI生成画像を広告・LP・提案書などの営利目的で使うときに、他人の著作権・肖像権・商標を侵害していないか、そして生成サービスの規約が商用利用を認めているか、という2層の確認のことです。この記事は法解説ではなく、目の前の1枚を「使う/使わない」と判定する手順と記録の作り方を扱います。
対象読者は、AI画像を自社の広告・LP・提案書・SNSに使いたい経営者と実務担当者です。僕はAIVESTという会社を経営していて、自社ブログの図解とカバー画像をAIでほぼ毎日生成しています。2026年7月19日から9月7日までで70記事・累計284枚。その全部をこれから書く線引きと手順に通してきました。
著作権の一般論(依拠性・類似性の物差し、公開前に社内で確認する5項目、指摘を受けたときの対応順)は親記事にまとめています。本記事は画像専用の各論で、参照画像・実在人物・ロゴ・規約・記録の線引きに絞ります。
関連記事生成AIの著作権リスク対策。公開前に社内で確認する5項目生成AIで作った文章や画像を公開する前に、社内で何を確認すべきか。出どころ・類似・プロンプト・出典・未確認要素の5項目を、生成AI制作物を毎日公開している会社の実運用の手順とあわせて解説します。本記事は運用設計の解説であり、法的助言ではありません。個別案件の法的判断は弁護士など専門家に確認してください。文化庁資料・判例・各サービスの規約に関する記述は、2026年9月時点で僕が公式ページと一次報道を確認した範囲のものです。規約は改定されるため、自社の契約プランの最新版を必ず確認してください。
AI画像の著作権と商用利用。何が問題で、この記事は何を扱うか
画像は文章と違って、問題が3つ同時に来る
文章の生成AIで気にするのは、ほぼ著作権だけです。画像は違います。1枚の中に人の顔・企業のロゴ・既存キャラクターに似た造形が同時に紛れ込むことがあり、著作権のほかに肖像権と商標の問題が一度に発生します。しかも生成した本人が「似ている」と気づかないまま公開してしまう。文章なら読めば分かる違和感が、画像では見逃されやすいのです。
「感覚で判定する運用」が最大のリスク
もう1つの問題は、判定が担当者の感覚に任されていることです。「なんとなく大丈夫そう」で広告に載せ、指摘が来てから慌てる。指摘を受けたときに会社を守るのは担当者の記憶ではなく、「何を渡して、何を確認して、いつ誰が使うと決めたか」の記録です。後半でその残し方を書きます。
AI生成画像を商用利用する前に確認する3つの権利。著作権・肖像権・商標
AI生成画像を商用利用する前に、3つの権利に触れていないかを見ます。1行ずつ言い換えます。
著作権: イラスト・写真・キャラクターの「表現」を守る権利。作風やアイデアは守られないが、構図や造形まで似ると侵害の方向に近づく
肖像権・パブリシティ権: 人の顔や姿を勝手に使われない権利と、有名人の名前・肖像が持つ経済的な価値を守る権利。日本では条文ではなく裁判例で認められてきた
商標: 商品やサービスの目印(ロゴ・名称)を守る権利。登録された商標は、同じ種類の商品・サービスで他人が使えない
画像で注意したいのは、肖像権と商標が著作権と同時に絡む点です。「AIが描いたから誰の権利でもない」とはなりません。逆に言えば、この3つが入り込まないよう入力の段階で管理できれば、判定の大半は終わります。
参照画像に他者の作品を使ってはいけないのはなぜか?渡してよい画像の判定表
参照画像は「似せてほしい」という意思表示
参照画像とは、「この画像に似せて描いて」とAIに渡すお手本画像や、加工の元になる画像のことです。ここに他者の作品を入れると出力が似るのは当然で、似せる意図が入力の記録として残ります。依拠性(既存の作品を元に作ったといえること)を自分で証明する行為で、渡した時点で線を越えています。
渡してよい画像の判定表
僕は渡す画像を5つに分けて、渡す・渡さないを先に決めています。見るのは「権利が誰にあるか」と「出力にどう残るか」の2点です。
渡す画像の区分 | 判定 | 理由・条件 |
|---|---|---|
自分(自社)で作った画像 | 渡してよい | 権利が自社にある。うちが参照に渡すのはこの区分だけ |
権利を買った画像(ストック素材・購入素材) | 条件付き | 許諾範囲に「AIへの入力」「改変」「商用利用」が含まれるか規約で確認。不明なら渡さない |
他者の作品(ネットで見つけたイラスト・写真) | 渡さない | 依拠性を自分で作る行為。出力が似ていなくても入力の記録が残る |
実在人物の写真 | 渡さない | 肖像権に加え、顔が別人に描き直され本人性が保てない(次の見出しで詳述) |
自社ロゴ | 渡さない(生成に混ぜない) | 権利は自社にあるが、AIが再描画して形が崩れる。必要なら生成後に正規データを重ねる |

うちは参照テンプレを固定して、テキストと色だけ差し替える
うちのブログ画像は、カバー用と図解用の参照テンプレートを自分たちで作り、生成のたびにそれを参照画像として渡しています。指示するのは見出しの文言・カード内の文字・配色だけで、ゼロから絵を描かせません。
ポイントは、依拠性が疑われる入力を最初から発生させない設計であることです。渡す物が自作テンプレートに固定されていれば、「この参照画像は渡してよいか」を毎回判定する場面そのものが消えます。判定精度を上げるより、判定する回数を減らす方が事故は減ります。
実在人物・ロゴ・キャラクターはAI画像でどう扱うか?
実在人物。権利と品質の2層で「生成に使わない」
実在人物を生成に使わない理由は2層あります。1層目は権利で、本人の許諾なしに顔や姿を使えば肖像権の問題になり、有名人ならパブリシティ権も絡みます。
2層目は品質です。僕が使っている画像生成(ChatGPTのサブスク枠で使える画像生成)でも、実在の人物写真を参照させると、顔は似た別人に描き直されます。つまり許諾を取っていても、本人として使える画像にならない。だから僕の判断ルールは「実在人物を出す必要がある制作物は、AI生成ではなく本人の許諾を得た実写を使う」です。うちのブログ画像は実写を混ぜない方針なので、人物は登場させていません。

代表者の写真をAIで加工して使いたい、という相談は本当に多いです。答えはいつも同じで、加工するなら実写のまま人の手で。AIに参照させた瞬間、それはもう別人の顔なんですよね。
ロゴ。他社のロゴは商標、自社のロゴは崩れる
他社のロゴを生成画像に入れる、似せて描かせる行為は、著作権より先に商標の問題です。「有名サービスのロゴが並ぶ比較画像」のような指示は出さないと決めておきます。自社ロゴも生成には混ぜません。権利は自社にあっても、AIは再描画で形を崩すからです。必要な制作物では、生成画像とは別に正規のロゴデータを重ねます。
キャラクター。似た要素が紛れたら差し戻し
既存キャラクターに似た造形は、指示していなくても紛れ込むことがあります。うちでは公開後の人間レビューで似た要素がないかを見て、あれば掲載を止めて差し替えます。「少し似ているかもしれない」を議論しないのがコツで、迷ったら使わない側に倒します。
生成サービスの商用利用規約で確認する5つの点
規約の条文をここに転載しても、改定された瞬間に古くなります。だから僕は、条文の中身ではなくどの項目を見て、何を記録するかを固定しています。
確認点 | どこを見るか | 記録する項目 |
|---|---|---|
1. 商用利用の可否とプラン条件 | 利用規約・コンテンツポリシーの「商用利用」「有料プラン」の記述 | 契約プラン名・可否 |
2. 生成物の権利帰属 | 生成物の権利が利用者に帰属するか、事業者が使用権を持つか | 帰属の記述の要旨 |
3. 実在人物・著名人・ロゴ生成の制限 | 禁止事項・使用ポリシー | 禁止されている生成対象 |
4. 補償の有無 | 法人向けプランの補償条項(侵害を主張されたとき事業者が費用を負担する仕組み)。2026年9月時点で一部サービスが用意。条件はプランごとに違い改定される | 補償の有無・適用条件 |
5. 規約の版と確認日 | 規約ページの最終更新日 | 確認日・確認者・版 |
各サービスの公式規約ページは出典節に確認先として載せました。条文の要約をここに書くと読んだ人が確認した気になるので、あえて書きません。確認は自社の契約プランの規約を、自社の担当者が、日付を入れて行うものです。利用ルール全体を社内で決めるなら、ChatGPT社内ルールの記事に雛形を置いています。
依拠性が疑われる指示とは?画像で禁止する入力の3分類
依拠性の一般論は親記事に譲るとして、画像で実際に管理するのは入力の3分類です。この3つを禁止にしておくと、出力の判定がずっと楽になります。
文字の指示: 実在の作家名・作品名・キャラクター名・他社名を似せる目的で入れる指示。「〇〇風」も同じ。スタイルは「フラットデザイン」「水彩」など一般名詞で指定する
参照画像: 他者の作品を「これに似せて」と渡す入力。判定表で「渡さない」に入る区分すべて
編集元画像: 他者の写真やイラストを元にした画像加工(画像から画像を生成する使い方)。元画像の権利がそのまま出力に引き継がれる

事故が多いのは2と3です。文字の指示は社内ルールで禁止しやすいのに対し、参照画像と編集元画像は「便利だから」でこっそり使われます。入力を管理すれば、出力の判定は「人物・ロゴ・キャラクターに似ていないか」の目視だけで済む。入力が野放しだと、出力をいくら目視しても依拠性の疑いは消えません。
「使ってよい画像」を人の感覚でなく手順で判定する。僕の会社の運用と記録
ここからはうちの現物です。自社ブログの画像は2026年7月19日から9月7日までの70記事で累計284枚、1記事あたりカバー込みで最大5枚と決めています。284枚が全部通ってきた流れを順番どおりに書きます。
判定する場面を減らす設計から、公開後レビューまで
判定する場面を減らす設計: 参照に渡すのは自作テンプレートだけ。テキストと色だけ差し替える。人物・実写・ロゴは生成に入れない
生成後の目視: 日本語の文字化けや崩れを毎回目で確認する。崩れたら文言を短くして再生成し、再生成は各画像2回まで
機械ゲート: 公開前に機械が画像の枚数(上限5枚)・画像URLが実際に表示されるか・カバー画像の本文重複を検査する。落ちると投稿の工程に進めない
自動公開: 機械ゲートを通った記事は自動で公開される
公開後24時間以内の人間レビュー: 僕自身が全件を見て、人物・ロゴ・キャラクターに似た要素がないかを確認する。あれば掲載を止めて差し替える
記録: 画像ごとの一覧(ファイル名・説明文・役割・公開URL)と、日付・記事・枚数の台帳を残す

機械ゲートは権利を判定しない。正直に書いておく
誤解のないように書くと、うちの機械ゲートは画像の権利を判定していません。検査しているのは枚数・表示・重複といった形式だけです。「似ていないか」は機械では判定できないので、人間のレビューに残しています。感覚を使う場面を1か所に限定する、これが「感覚で判定しない」の実態です。ゲートの作り方はAI記事の品質ゲートの記事にあります。
渡すのは自分で作った物だけ。似せたい物は渡さない。人物・ロゴ・キャラクターはAIに描かせない。使った枚数と場所は全部記録する。
僕の画像運用はこの4行に集約されます。正直に付け加えると、うちが残しているのは画像ごとの一覧と枚数台帳と参照テンプレートの固定までで、指示文の全文は保存していません。これから運用を作る会社には指示文も残すことを勧めます。指摘を受けたとき「何を指示したか」を示せるからです。図解を量産する手順はAI図解・スライド生成の記事に分けています。
AI画像の著作権チェックの手順
上の運用を、どの会社でも使える5段の手順に直します。画像の著作権チェックは出力を眺めることではなく、入力から記録までを順番に通すことです。
参照画像・編集元画像・文字の指示の3つを見ます。参照画像と編集元画像は判定表の「自分で作った」区分だけか。文字の指示に実在の作家名・作品名・キャラクター名・他社名が似せる目的で入っていないか。引っかかったら生成し直します。
実在人物・他社ロゴ・既存キャラクターに似た要素がないか、文字が崩れていないかを目で確認します。似ている気がする要素は議論せず差し戻し。画像検索は補助で、探して見つからなかった記録を残します。
使ったサービスの規約で、商用利用の可否とプラン条件・権利帰属・実在人物やロゴ生成の制限・補償の有無を確認し、版と確認日を記録します。確認日が古い記録は再確認します。
ファイル名・用途(どの広告やLPに使うか)・確認者・確認日を一覧に残します。枚数の台帳も持つと、どの制作物にAI画像が何枚入っているかを後から追えます。
公開から24時間以内に別の目で全件を見直します。制作者は自分の画像の違和感に気づきにくいので、確認者は分けます。問題があれば掲載を止めてから差し替えます。
大事なのは順番です。入力の点検を最初に置くことで、後の工程で判定する量が減ります。出力の目視から始めると「似ている気がする」の判定を毎回人がやることになり、続きません。
よくある質問
違います。「フリー」には、AIが自律的に生成した画像には著作権が発生しない場合があるという自分側の話と、他人の権利を侵害しないかという相手側の話が混ざっています。前者が成り立っても後者は消えません。既存の作品・実在人物・他社ロゴに似ていれば著作権・肖像権・商標の問題は通常どおり発生しますし、生成サービスの規約も権利帰属や商用利用の条件を定めています。
各サービスの利用規約と契約プランの条件次第で、しかも規約は改定されます。この記事では条文を断定せず、確認する5つの点(商用利用の可否とプラン条件・権利帰属・実在人物やロゴ生成の制限・補償の有無・規約の版と確認日)を示しました。2026年9月時点の公式規約ページは出典節に載せています。自社の契約プランの規約を、担当者が日付を入れて確認し記録してください。
文化庁のこれまでの整理では、AIが自律的に生成しただけのものは著作物に当たらず、人間が創作的に関与した場合に著作物と認められる余地がある、とされています。守れない可能性は織り込むべきです。実務では、守りたい物(ロゴ・キービジュアル・キャラクター)は人の手で作り、ロゴや名称は商標登録で守ります。AI画像は「守る必要のない量産物」に使うのが現実的な割り切りです。
画像検索で似た画像を探す方法はありますが補助で、完全な検出はできません。学習データに含まれていた作品との類似は検索に出てこないことがあるからです。だから僕は出力を検査するツールより、入力を管理する運用(参照画像は自作だけ・他者の作品と実在人物を渡さない)を優先しています。検索した事実と結果の記録は、依拠していないことの説明材料になります。
あります。2024年2月、中国の広州インターネット法院は、生成AIサービスがウルトラマンに酷似した画像を生成した事件で、サービス事業者の著作権侵害責任を認め、損害賠償1万元などを命じました。日本については、文化庁が2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめた際、判例・裁判例の蓄積がない現状を前提にしたと公式ページに記しています(2026年9月時点でも掲載)。海外判決を日本法にそのまま当てはめることはできませんが、既存キャラクターに似た出力が侵害と認定されうる事例として社内の説明に使っています。
まとめ。線引きは「渡す物」と「記録」で決まる
AI画像の著作権と商用利用の判定は、出力を眺めて悩むことではなく、渡す物を固定し、確認した事実を記録することです。
画像は著作権・肖像権・商標の3つが同時に絡む。入力の段階で3つを入れない
参照画像は自分で作った物だけ。他者の作品・実在人物の写真・ロゴは渡さない
実在人物は権利と品質の2層でAI生成に使わない。必要なら許諾を得た実写を使う
規約は条文を覚えず、5つの確認点と版・確認日を記録する
判定する場面を減らす設計が先、目視が後。機械は権利を判定しないので人間のレビューを工程に固定する
僕自身、この線引きで284枚のAI画像を公開してきました。自社の広告・LP・提案書に合わせた判定表と記録の形を設計したい場合は、お問い合わせから相談してください。判定手順を配って終わりにせず研修で体感してもらう組み立ては、AI研修の総合ガイドにあります。
参照画像・入力素材の制限や公開前チェックの項目を含めて生成AIの利用ルールを自社の文書に落とすなら、そのまま記入して使える「社内AI利用ルール ガイドライン雛形」(全9条・導入5ステップつき)をどうぞ。無料でダウンロードできます。
出典
本記事の判定表・入力の3分類・運用フローと記録の記述は、僕の会社で実際に回している画像運用が元です。法制度の整理と判例は以下を2026年9月7日に確認しました。各サービスの規約は確認先として挙げるもので、条文は自社の契約プランの最新版で確認してください。個別案件の法的判断は専門家に確認してください。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
文化庁「AIと著作権について」(「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」2024年7月31日を含む掲載ページ) https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
広州インターネット法院のウルトラマン画像生成をめぐる判決(2024年2月): TMI総合法律事務所の解説 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2024/15548.html
各生成サービスの公式規約ページ(確認先・2026年9月時点): OpenAI の Terms of Use と Usage Policies(openai.com の Policies ページ)/Google の Gemini API 利用規約 https://ai.google.dev/gemini-api/terms /Adobe の利用条件(adobe.com の Legal ページ)/Canva の利用規約 https://www.canva.com/policies/terms-of-use/ /Stability AI のライセンス https://stability.ai/license
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