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AI顧問の選び方。契約前に確認する7つのチェック

AI顧問の選び方。契約前に確認する7つのチェック

AI顧問の選び方とは、価格や実績を並べて比べる作業ではなく、「誰が来て、何に、どれだけ動くか」を契約前に文字で確認する作業です。この記事では、僕が自社のAI顧問サービスで実際に使っている契約書と提案書を発注側の目で読み直し、契約前に確認すべき7項目に分解して公開します。

読んでほしいのは、候補を2〜3社に絞り、提案書と見積もりを前にして「この条件で握って大丈夫か」を判断したい経営者です。比較表ではなく、そのまま面談で使える確認項目を渡します。

AI顧問の選び方は「誰が来て、何にどれだけ動くか」で決まる

最初に、なぜ実績や価格の比較では外れを避けられないのかを整理します。

比較の項目が「サービス紹介」の言葉になっている

AI顧問の比較で並ぶのは、支援領域・実績社数・料金プランといった項目です。これらは会社を紹介する言葉であって、あなたの会社に来月から何が起きるかを一切決めていません

外れる契約はほぼ例外なく、「支援します」「伴走します」という動詞が、時間・担当者・頻度に翻訳されないまま始まっています。逆に言えば、契約前の確認は「その言葉は、月に何時間・誰が・どの速度で、という数字に置き換わるか」を聞くだけで足ります。

そもそもAI顧問がどういう役割の人なのかが曖昧な方は、先にAI顧問とは何かを解説した記事を読むと、以下の項目の意味がつかみやすくなります。

このチェックリストの出どころ

この記事の7項目は、一般論の寄せ集めではありません。僕が経営するAIVESTで、AI顧問サービスを提供するときに実際に使っている契約書(全15条)と、提案時に役務の中身を書き出す欄を、発注する側の目で読み直して抽出したものです。

つまり「売る側が契約書のどこで何を確定させているか」を、そのまま買う側の確認手順に裏返しています。提供側の書類を知っていると、提案書の空欄がどこにあるかが見えます。

AI顧問の契約前に確認する7つのチェック項目の全体像

7項目は上から順に、稼働の定義・人・速度・所有権・期間・立ち上がり・測り方です。順番にも意味があって、上の3つが決まらない契約は、下の4つを詰めても機能しません

チェック1: 稼働範囲と時間はどう定義されているか

7つのうち最も重要な項目です。ここが数字になっていない契約は、他が全部良くても後で揉めます。

「月額いくら」の下に「月に何時間」があるか

僕の顧問契約書では、第1条の役務内容の欄に、提供するものを箇条書きで並べたうえで稼働時間を数字で明記しています。たとえばプレミアムの区分なら「月20時間サポート(週5時間相当)」という書き方です。週あたりに割った数字まで書くのは、月末にまとめて消化する運用を避けるためです。

数字で書く理由は単純で、時間が書かれていない役務は、後から「それは範囲外です」と言える余地が無限に残るからです。売る側から見ると、時間の明記は自分の首も絞めます。それでも書くのは、範囲が曖昧なまま始まった契約が一番早く壊れるからです。

ポイント

「必要に応じて柔軟に対応します」「回数の上限は特に設けていません」。上限が無いのではなく、下限も無いという意味になりがちです。柔軟さは良いことですが、それは時間を書いたうえでの運用の話であって、書かない理由にはなりません。

範囲は「やること」と「やらないこと」の両方で聞く

役務の欄には、定例セッション以外に何が含まれるかが並びます。僕の場合は、日常的なチャットサポート、音声や動画でのフィードバック、簡単なシステム構築1件、社内スタッフの同席可否まで書いています。

発注側の確認としては、この箇条書きを見ながら「ここに書かれていないものは、追加費用ですか、それともそもそもやらないことですか」と1回聞くだけで十分です。答えが即座に返ってこない相手は、範囲を自分でも把握していません。

チェック2: 提案した人が実務も担当するか

提案の場に出てきた人と、契約後に実際に動く人が同じかどうか。ここは金額よりも成果を左右します。

提案が上手い会社ほど、営業や提案の担当と、実務の担当が分かれます。分業自体は悪いことではありませんが、AI活用の顧問は判断の質がそのまま成果になる仕事なので、判断する人が入れ替わると中身が別物になります。

聞き方は具体的にします。「契約後、月次の定例に出るのは誰ですか。その方の名前と、その方自身が自社のどの業務をAIに任せているかを教えてください」。自分で日常的にAIを回している人なら、具体的な答えが即座に返ってきます。

ある顧問先との個別セッション稼働(Googleカレンダーからの機械集計・2026年4月〜7月): 合計113時間・月平均28時間。最多は金曜日で、22時以降のセッションも17コマ。

これは僕の実測です。月平均28時間は、営業日ベースでほぼ毎日1時間以上、経営者の隣にいる計算になります。深く関与するプランでの数字なので全部がこうなるわけではありませんが、「誰が来るか」の答えが変わると、この時間の中身は丸ごと変わります。名前で確認する価値があるのはそのためです。

チェック3: 月1の面談以外に、どの速度でやり取りできるか

AI活用の相談は、月1回の定例まで待てるものばかりではありません。「この機能、うちで使えますか」「この出力、社外に出して大丈夫ですか」は、その日のうちに答えが欲しい類いの問いです。

窓口と応答の目安を契約書で確認する

僕の契約書では、役務の1番目に「オンラインチャットによる日常的なサポート」を置いています。定例より先に日常のやり取りを書くのは、顧問の価値の大半が定例と定例の間に発生するからです。

確認するのは3点だけです。連絡窓口はどこか(チャットツールか、メールか)、返答の目安はどれくらいか、そして緊急時に誰まで届くか。契約書に窓口の記載が無く、口頭で「いつでも連絡ください」とだけ言われる場合は、運用ルールを議事録に残してもらってください。

AI顧問の稼働の定義シート(時間・窓口・応答速度・担当者)

社内の誰が同席できるかも速度に効く

セッションに社内のスタッフが同席できるかどうかも、導入の速度を大きく変えます。経営者だけが理解して現場に伝言する構造だと、翻訳のたびに精度が落ちるからです。

僕の契約では組織導入支援として、各ミーティングにスタッフが参加できることを明記しています。同席の可否は追加費用の話になりやすいので、契約前に確認しておく項目です。

チェック4: 成果物と社内データは誰のものになるか

ここは正直に書きます。多くのAI顧問契約では、提供側が作成・提供した資料やノウハウの権利は提供側に残ります。僕の契約書もそうなっています。これはこの業界で珍しいことではなく、それ自体は警戒すべき条項ではありません。

だから発注側が確認すべきなのは「権利がどちらにあるか」ではなく、次の2つです。

  1. 解約後に自社が使い続けられる範囲がどこまで書かれているか。顧問期間中に社内に作った仕組み・手順書・設定を、契約終了後も自社の業務で使い続けられるか。転載や再配布は禁止でも、自社利用は継続できるのが普通です。ここが書かれていなければ、書き足してもらいます。

  2. 秘密保持が双方向になっているか。契約書によっては、受け手側だけに守秘義務が課されていることがあります。自社の業務データや顧客情報を渡す以上、提供側にも同じ義務があるかを見てください。

ポイント

社内データをAIに読ませる範囲は、顧問契約とは別に自社のルールとして先に決めておくのが安全です。どの情報までを外部サービスに入力してよいかの線引きは、契約書ではなく社内規程の仕事になります。

チェック5: 契約期間・解約・更新の条件は何か

期間の設計は、実は稼働時間の次に重要です。

僕の契約書では、契約期間を3ヶ月とし、満了後は協議のうえで更新する形にしています。自動更新にしていないのは、続けるかどうかを毎回成果で判断してもらうためです。ここは選び方の物差しとしてそのまま使えます。自動更新の契約なら、更新拒否の通知期限がいつまでかを必ず確認してください。

もう1つ、あまり語られない実態を書きます。顧問契約の多くは、発注側都合の途中解約を原則として認めていません。僕の契約書も原則不可とし、やむを得ない事情がある場合に限って、残存期間と提供済みの役務に応じて返金の可否を協議する、という書き方にしています。提供済みの分が返金対象外になるのも一般的です。

つまり、途中でやめられない前提で期間が決まるので、「短く始めて延ばせるか」が発注側の唯一の防御線になります。6ヶ月や12ヶ月を最初から求められたら、3ヶ月で区切れないかを交渉する価値があります。

なお、契約の形態や相手によっては特定商取引法のクーリングオフが適用される場合があります。該当する契約なら説明書面が添付されているはずなので、その有無も確認してください。

チェック6: 最初の30日で何が起きる設計になっているか

契約前の面談で「最初の30日に何をしますか」と聞いて、具体的な答えが返ってこない相手とは契約しないでください。これは相性ではなく、設計があるかどうかの問題です。

僕が顧問に入るときの立ち上がりは、ほぼ決まっています。最初に業務の棚卸しをして、AIに任せてよい業務を条件で絞り込み、その中から1つだけ選んで30日以内に実際に動くものを1つ作る。ツール選定から入ることはしません。

AI顧問の最初の30日の設計(棚卸し→1業務の決定→動くものを1つ)

順番に理由があります。棚卸しを飛ばすと、社内で一番目立つ業務が選ばれがちで、経営インパクトの薄いところに最初の30日を使ってしまいます。逆に、小さくても動くものが1つできると、社内の「AIは自社では無理」という空気が変わります。最初の30日の目的は成果額ではなく、社内の手応えです。

確認する質問は1つで足ります。「最初の30日で、どの業務のどこが変わりますか」。ここに業務名が入らない答えは、設計が無いということです。

チェック7: 成果は何で測ると握っているか

最後の項目です。ここでも提供側の実態を先に書きます。AI顧問の契約書には通常、成果を保証しない旨の免責条項が入っています。僕の契約書にも入っています。

だから発注側が握るべきなのは「保証」ではなく「測り方」です。保証をうたう相手のほうがむしろ注意が必要で、保証できる範囲まで仕事を小さく切るか、成果の定義を後から動かすことになります。

測り方は、契約前に3つ決めておけば十分です。

  • 時間: どの業務の作業時間を、月あたり何時間減らすことを狙うか

  • 件数または速度: 処理件数、対応のリードタイム、社内で自走できる担当者の人数など、数えられるもの

  • 確認のタイミング: いつ、誰と、どの数字を見て振り返るか(月次の定例に乗せるのが現実的です)

ポイント

「初回3ヶ月は、見積書作成の作業時間(月◯時間)を対象とし、月次定例で実測を確認する」。金額目標ではなく、自社で計測できる数字にするのがコツです。計測できない指標は、3ヶ月後に誰も検証しません。

費用が妥当かどうかは別の物差しで見る

ここまでの7項目は、契約の中身が定義されているかどうかのチェックです。金額の妥当性は、この7項目が全部埋まった後にしか判断できません

月額だけを並べても、その下にある稼働時間・担当者・関与の深さが違えば、別のサービスを比べていることになるからです。

費用の相場、金額を動かす要因、安い顧問と高い顧問の中身の違いは別記事にまとめてあります。この記事のチェックリストで中身を揃えてから、そちらで金額を検証する順番がおすすめです。

関連記事AI顧問の月額相場と費用比較。見積もりを読む5つの視点AI顧問の月額相場は助言中心で数万〜10万円台、伴走型で20〜50万円規模。顧問の見積もりを作る側から、費用比較の物差し(稼働時間・関与の終点・契約条件)と時間単価の読み方、費用を下げる準備を解説します。

AI顧問の契約前によくある質問

契約が終わった後、作った仕組みは自社に残りますか?

契約書の知的財産の条項と、解約後の利用範囲の記載を確認してください。提供側が作った資料やノウハウの権利が提供側に残るのは一般的ですが、自社の業務で使い続けられるかは別問題です。書かれていなければ、契約前に明記してもらうのが確実です。

まとめ: 契約前チェックリストと相談窓口

最後に、面談でそのまま使える形に7項目をまとめます。

  1. 月に何時間・何が含まれるかが、数字と箇条書きで書かれているか

  2. 提案の場にいる人が、契約後も実務を担当するか(名前で確認)

  3. 定例以外の窓口・応答の目安・スタッフの同席可否が決まっているか

  4. 解約後に自社が使い続けられる範囲と、双方向の秘密保持があるか

  5. 契約期間・更新方法・途中解約の扱いが明記されているか

  6. 最初の30日で、どの業務のどこが変わるかを言えるか

  7. 何の数字で測り、いつ振り返るかを握れているか

7つに共通しているのは、どれも「相手を信用できるか」ではなく「文字になっているか」を見ているという点です。人柄や実績で決めた契約は、条件が曖昧なまま走り出します。逆に条件が文字になっていれば、相性が多少悪くても仕事は進みます。

そして提供側から見ると、この7つを聞いてくる会社は、導入がうまくいきやすい会社でもあります。範囲と測り方を先に決めたがるということは、社内で運用する準備ができているということだからです。

契約後の最初の90日で具体的に何をするかは、自社で実践している手順をそのまま資料にまとめてあります。チェック6の「最初の30日」を自社側から設計するときの材料に使ってください。

ポイント

「中小企業のための生成AI導入チェックリスト」を無料公開しています。Day 1-30 / 31-60 / 61-90 の3フェーズで、AIに任せてよい業務の見極めから定期実行に載せるまでを項目化した実用資料です。顧問候補への確認と並行して、自社の受け入れ側の準備を進められます。

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戸野塚 蓮

戸野塚 蓮

株式会社AIVEST 代表

株式会社AIVEST。AI活用オンライン講座・AI顧問・受託開発を通じて、 個人と企業のAI活用を支援しています。

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